マサキの部屋

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特捜ロボ ジャンパーソン 第15話「翼をすてた天使」について

第15話「翼をすてた天使」

1993年5月9日 脚本:扇澤延男 監督:蓑輪雅夫

研究所の爆発事故により全てを失い、当てもなく彷徨っていたロボット・エンジェルは町工場の荘伸鐵所に拾われ、作業ロボットとして働いていた。エンジェルは自らを何の特殊能力のないロボットだと思っていたが、実は帯刀が作らせた破壊工作用ロボットだった。エンジェルは帯刀に命令に従わなければ、大切なものを失うと脅される。そして何者かによって荘伸鐵所の工員が怪我を負わされた。エンジェルはやむなく、帯刀の命令通りに破壊活動をするしかなかった・・・。

翼をすてた天使

翼をすてた天使

  • 発売日: 2017/01/20
  • メディア: Prime Video
 

"翼をすてた"エンジェル

今回はエンジェルを中心に物語が進行するが、終盤にジャンパーソンが謎の声に悩まされることになる。この謎の声こそ、ジャンパーソンの謎に大きく関わってくることになる。

 

研究所の爆発事故で全てを失ったエンジェル。そんなエンジェルを偶然、拾ったのが町工場の荘伸鐵所だった。エンジェルは、エンジェルという名を持ちながら翼すらなく、特殊能力もない出来損ないだと言う。

それに対し、荘伸の面々は言った。

社長「出来損ないじゃない野郎がいるのかよ。みんな出来損ないよ。だから寄ってたかって助け合うんだろが。違うのか?」

田中「巡り会えたのも何かの縁だと思わんかい?」

そんな優しい彼らに迎えられ、エンジェルは晴れて作業ロボットとして働くことになった。

荘伸鐵所の雰囲気は非常に和気藹々としている。本当の意味でのアットホームな職場だろう。

そして、荘伸の面々はそれぞれキャラクターが立っている。

それもそのはず、荘伸の面々を演じたのは東映特撮に馴染みのある人ばかりだからだ。

特に、荘伸の工員ロクを演じたのは前作「特捜エクシードラフト」のドラフトブルース=村岡耕作役の河合マモルさんである。セリフも多く、かなり存在感がある。

みんなから愛されるエンジェルだったが、そこに現れる帯刀コンツェルンの秘書セーラとマヤ。幸せな日々はそう長くは続かなかった。

 

残酷な運命に翻弄される天使と、ジャンパーソン

エンジェルは帯刀が発注して作らせた破壊工作用ロボットだった。エンジェルは自分では気づかなかったが、バリアを発生させる能力や銃も内蔵されており、さらには翼もあったのだ。

エンジェルは荘伸の工員ロクたちが何者かに怪我を負わされたことにより、不本意ながら創造主・帯刀の命令に従うしかなかった。

悩めるエンジェルに対し、お前は破壊者としての運命しかないと告げる帯刀。まるで悪魔のような男である。

 

破壊活動を行うエンジェルの前に、どこからともなく現れるジャンパーソン。

そしてジャンパーソンはエンジェルを追い詰める。

そんな時、ジャンパーソンの頭の中に謎の声がよぎる。

「悪を倒せ・・・。」

その声は悪を完全破壊しろ、部品一つ存在させるなと指令する。ジャンパーソンは怯えるエンジェルを前に、その声に支配されぬよう必死に自分を保っていた・・・。

 

エンジェル「ジャンパーソン・・・。同じロボットなら、俺も、俺もお前のように生まれたかった・・・。愛し、愛される、そんなロボットに。」

ジャンパーソン「エンジェル。私も生まれた時は違ったんだ。」

エンジェル「俺なんか・・・、はじめからこの世に生まれてこなきゃ良かったんだよな。」

前回のU2のセリフ

U2「正彦くん・・・。これでよかったんだ・・・。俺は正義のロボットとして生まれてきたかった・・・。」

エンジェルのセリフは前回のU2と重なる部分がある。U2とエンジェル、両者は悪のロボットとして生まれながら、あることをきっかけに誰かと必要とされる存在となった。だが、残酷な運命を司る創造主からは逃れられなかった・・・。

 

なかなか重たい話が続くが、これこそジャンパーソンの魅力の一つであり、一人のロボットの葛藤、「善と悪とは?」などと考えさせられるストーリーはなかなかエグいところを突いている。特に「善と悪とは?」の部分は、一般的なイメージの、勧善懲悪だけの世界と捉えがちの特撮番組ではないということを「ジャンパーソン」が主張しているようである。もっというと特撮番組は割とそういったエピソードが多々存在しているが。

それに「善と悪とは?」というテーマながら、主人公ジャンパーソン自身が過剰な正義を主張する、自らの謎の声に悩まされるというはなかなか奥深い。

また、悪側に属しながら自分の境遇に葛藤を抱えるキャラクターというテーマは、この回の脚本を担当した扇澤延男氏の真骨頂であろう。扇澤氏の脚本の「さまよう冷凍男」のアイスマンのように、エンジェルの声を演じた上田祐司さんの温厚な声がストーリーの悲壮感を際立たせている。

シリアスなストーリーだが、ラストは荘伸の面々の優しさに溢れたものとなっている。

そして「悪を倒せ。」という声の正体と、ジャンパーソンの謎が明らかとなる・・・。

 

ゲスト

社長・・・西尾徳

田中・・・依田英助

ロク・・・河井マモル

治・・・田中優

エンジェルの声・・・上田祐司