第14話「爆破寸前の友情」
1993年5月2日 脚本:中野睦 監督:小西通雄
ネオギルドの工作ロボ・U2はジャンパーソンとの戦闘中に高所から転落し、逃亡。その直後、階段の踊り場から落ちる少年正彦を助けた。そう、U2は転落のショックによって記憶回路に支障をきたし、善良なロボに生まれ変わっていた。だが、ジョージ真壁は計画の漏洩を恐れ、U2捜索のためにドールマンを差し向けていたのだった。
物語はジャンパーソンとU2の戦闘から幕を開ける。建物の屋上で両者は闘っており、U2はジャンパーソンに飛びかかるが、ジャンデジックを食らってそのまま地上に転落し、記憶を失って善良なロボットになっていた。
U2はネオギルドの黒いプロテクターの戦闘ロボットギルブラッカーの系統ではなく、単純に特殊工作用ロボットである。なので戦闘力は高くはなく、武器はマシンガン以外装備している様子はない。そして顔は男前。
U2を追う、最新鋭変身型ロボットドールマンは普段は人間の姿だが、戦闘形態になるとギルブラッカー系統の黒いプロテクターを身に纏い、長い爪を武器に戦う。また、顔が銀色になる。顔はドールマン演じる神威狂児さんに直接メイクを施しているが、これがかなり存在感がある。また、神威狂児さんは前作「特捜エクシードラフト」でカルロス東郷を演じていたため、ドールマンは強キャラの雰囲気を醸し出している。
少年とロボットの友情
正彦は父親の形見であるBMWのエンブレムをいじめっ子に奪われそうになり、階段で揉み合っているうちに、踊り場から転落。そこにジャンパーソンから逃れたU2に偶然、助けられた。
正彦はU2を「おじさん」と呼び、心を通わせていく。
だが、ドールマンの攻撃や冒頭のジャンパーソンとの戦いでU2の身体はボロボロであった。それでもひたすら、U2の身を案じる正彦。
そして、U2は断片的だが自らの記憶を取り戻す。そう、自分が真壁の命令で爆弾を仕掛けていたことを!!
ジャンパーソンはU2が善良なロボットになっていることを知り、追って来たドールマンを退ける。
しかし、U2は爆弾の設置場所を思い出すことが出来ず、ジャンパーソンに自分の心臓部を切り開いて、記憶回路をハッキングしてくれと頼む。リスクを伴う行為であったが、U2の思いを汲み、ジャンパーソンは心臓部を切り開いて、記憶回路をハッキングし、爆弾を仕掛けた場所を突き止めた。
その時、U2は自らが今まで行って来たことを完全に思い出す。U2は各所で爆弾事件を起こしていたのだ。
U2はジャンパーソンの技術によって心臓部を切り開かれても無事で済んだが、ドールマンの残骸の手が不気味に動き始めた・・・。
今回の話はなかなかシリアスである。少年とロボットの友情がテーマだが、爽やかなものではなく、実に悲劇的なのだ。
U2「正彦くん・・・。これでよかったんだ・・・。俺は正義のロボットとして生まれてきたかった・・・。」
U2のセリフが次回にも繋がっていると思われる。このセリフはなかなか考えさせられるものがある。人間は自らの生き方について考えることがあるが、生まれてきた場所によって自らの生き方が半ば決まってしまうことがある。
「特捜ロボ ジャンパーソン」はロボットの人生を描きながら、人間に対してもそれを突きつけている。なかなか、哲学的なテーマを担った番組である。表面的には善と悪の戦いだけに見えるが、実際にはその戦いの狭間で苦しむ者達の姿が描かれている。
「ジャンパーソン」は全体的に考えさせられるエピソードが多い。1話完結のエピソードはなかなかの曲者揃いである。
そして次回、ジャンパーソンの出自について少しばかり言及されることになる。そう、ジャンパーソンの謎に、少しずつ近づいてるのだ。
ゲスト
U2・・・軍司真人
ドールマン・・・神威狂児
正彦・・・青木海