マサキの部屋

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特捜最前線 第367話 「六本木ラストダンス!」と「MIDNIGHT GIRL」

久しぶりに特捜最前線について語ろう。

今回は第367話「六本木ラストダンス!」を取り上げる。本作はソフト化されておらず、本作を含めた沢山の作品のDVD・Blu-ray化の願いを込めて思いの丈を綴ってみる。

多分、この回をはじめた見たのはちょうど今の時期かも知れしない。CSの再放送だった。当時の私は学生で、一番多感な時期に「特捜最前線」にどっぷり浸かっていた。だがら、同世代との話題はまったく噛み合わなかったり、実は昭和生まれでは?と思われたりする。

最近放送されたアメトーークの「高校中退芸人」で千原ジュニア氏が学校へ行かず、家で「特捜最前線」の再放送を見ていたと語っており、少しばかり親近感が湧いた。学生時代の私は気持ちが沈みがちだったので、たまに「特捜最前線」を見ていてると、暗い作風・結末に気持ちが引っ張られたりする。メンタルのコンディションが悪い時は「特捜最前線」はお勧めできない。しっかりとした状態で見ることがベストである。その頃の千原ジュニア氏がちょっと心配になったりするが・・・。

第367話 「六本木ラストダンス!」

脚本 佐藤五月 監督 辻 理

あらすじ

録音助手の青年が刺殺体として発見された。死因は自殺と思われたが疑点があり、特命課は他殺として捜査。叶は現場で職質した若い女性・友子が事件に関係があると推測。当初は見込み違いと思われたが、少しずつ死んだ青年と友子が繋がっていく・・・。

東京の眠らない街・六本木

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今回は叶刑事(演:夏夕介氏)主役編で、脚本は佐藤五月氏。佐藤五月氏は「特捜最前線」において嫌な女を描かせたら右に出るものはいないだろうが、今回のゲスト・友子は劇中の叶刑事が形容するように爽やかである。そんな友子を演じたのは広田レオナ氏(表記は玲央名)で、その存在感とミステリアスさは非常に印象的。また、実際にバレエ・ダンスの経験もあるため、友子の存在はかなりのリアリティがある。

「六本木ラストダンス!」は東京の街シリーズとして制作された。

東京 六本木、流行の最先端を担う人達の住む街。彼らの発想、アイディア、ニュースソースはマスコミの波に乗って全国へ、そして世界へと広がっていく。

六本木はまた、眠りを知らない街だ。この街で生活する人達は現実の中に夢を見ようとしているのである。

(叶刑事の冒頭ナレーション)

主役の刑事が冒頭のナレーションを担当するのが割と好きだったりする。ナレーションの言葉も短いながらに簡潔で、これからはじまるエピソードの世界観を巧みに提示させつつ、期待感を持たす。

本作は若い女性・友子が夢を求める生き様を、叶が容疑者として彼女を追う過程で知っていくという、事件よりも友子にベクトルが向いたエピソードである。

特捜最前線」は基本的にストーリー重視であるが、本作の魅力は友子という人物に、六本木という舞台から漂う独特な雰囲気とそれに伴う演出である。なので全体的にスタイリッシュな印象を受ける。

友子はミュージカル・スターを夢見ており、ウェイトレス、ディスコで働きながら、レッスンに通っている。睡眠時間は僅か4時間だという。かなりの努力家で実力はあるが、オーディションにはまったく受からない。叶は容疑者である友子を調べるうちに、ひとりの人間として友子を応援するようになる。←ここが本作のキーポイント。叶は刑事としての自分と、一人の人間としての自分の感情が一致しているわけではない。それは他の刑事達にも言えることはであるが、この葛藤こそ「特捜最前線」の真骨頂であり、まさに心優しき戦士達である。

友子は指輪は身につけている。その指輪はイサドラ・ダンカンが使用していたものとする縁起物で、彼女にとってのお守りだ。

私は本作を見てはじめてイサドラ・ダンカンを知った。

20世紀を代表するアメリカのダンサー。モダンダンスの祖でもあった。

イサドラ・ダンカン Wikipedia より

イサドラ・ダンカンは近代舞踊に多大なる影響を与えたが、事故によりその生涯を終えたという。

本作では個人的にかなり好きなシーンがある。それは友子が深夜に仕事を終えてクロスバイクで帰宅するシーンなのだが、そこに挿入歌の角松敏生氏の「MIDNIGHT GIRL」が絶妙なタイミングでかかる。正直、このシーンで本作に心を奪われたと言っても過言ではない。曲と映像が本当にマッチしているのだ。

特捜最前線」の優れた作品は理屈としても筋が通ったものであると思うが、ではなぜ、「六本木ラストダンス!」が好きなのかと理屈で説明しろと言われれば難しい。理屈で楽しむ作品と感覚で楽しむ作品に分かるのであれば、本作は感覚で楽しむ作品であるかもしれない。まさに心を奪われるというのは理屈ではない、衝動的なある種の一目惚れなのだ。

厳密に言うと、友子と「MIDNIGHT GIRL」の歌詞のイメージとは少しばかり違う。「MIDNIGHT GIRL」の歌詞の内容は"ワンナイトラブ"ではあるが、それでも見事にマッチしているという感じるのは演出のマジックと言えよう。というか、この選曲は本当に見事だと思うし、東京の街シリーズというコンセプトもしっかり表現されている。

「MIDNIGHT GIRL」はEDのテロップに表記が無いため、曲名と誰が歌っているかが分からず、ネットで調べても分からない時期があった。本作を見続けた数年後にやっと分かり、その時はマジで嬉しかった。

だが、忘れてはならない。この番組は「特捜最前線」である。やはり「特捜最前線」は流行の最先端の街というポップなものも漆黒に化えてしまう。

ラスト、叶が事件の調書を書き終えて神代課長(演:二谷英明氏)に提出するが、「これはお前の感想だ。」と書き直しを命じられる。改めて調書を書き終えた時には夜中になっていた。そして夜中の六本木を歩く叶。そこで駄目押しとばかりに視聴者を突き放すシーンが・・・。

 

眠らない街と 星のない空の下で

変わらない夢を自由(ゆめ)を探してる

「星のない空の下で」

作詞 上杉昇 作曲 柴崎浩 編曲 WANDS

WANDS

 

眠らない街で友子が探した夢、それは儚いものだった。彼女の存在もそうであったように・・・。

 

特捜最前線」は刑事ドラマの歴史にその名を刻む、伝説の作品である。「特捜最前線」の持つ独自の、そして鋭利な切り口は見るものの心をえぐりながらも、今でも多くの支持を集めている。東京の街シリーズでは文明社会にも警鐘を鳴らしながら、人生とは何かと問題提起をしてきた。

特捜最前線」は見れば見る程味のある作品であり、また、恐ろしい作品である。

 

 

星のない空の下で

星のない空の下で