マサキの部屋

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イナズマンF 第43話 「レッドクイン 暗殺のバラード」は思春期の思い出

※『イナズマン』は第26話から『イナズマンF』と改題し、第26話を第1話、本話を第20話と表記する場合がありますが、当ブログでは第43話と表記します。

思春期に少年からの"変転"

私にとってイナズマンFは思春期の思い出の作品である。

私がイナズマンFをはじめて見たのは中1の末期、いわば"中2"になりかけの頃だった。

当時の私はポップカルチャーではなくサブカル系に没頭しており(今もそうだが)、学校には必ずトンデモ本シリーズや双葉社大全シリーズ、宝島社の文庫本などを持っていっていた。

特に双葉社大全シリーズの中で、イナズマン大全(岩佐陽一 編)は本の表紙がボロボロになるまで学校に持っていって読んでいた。

そしてイナズマンFのはじめて見た回は本作の第43話「レッドクイン 暗殺のバラード」であった。その衝撃は凄まじかった。

それは僕の心臓ではなく

それは僕の心に刺さった

リアルよりリアリティ

「十四才」

作詞・作曲 甲本ヒロト 

THE HIGH-LOWS

まさしくそんな心境であった。とにかく、こんな作品があっていいのかと思った。イナズマンFが特撮番組=子供番組でありながら非常に尖っているのは知っていたが、実際に見てみるとその想像を遥かに上回った。イナズマンFの番組姿勢が当時の私の思春期特有のギラついた感性を刺激した。また、主人公の渡五郎(演:伴大介氏)のジャケットにネクタイスタイルも、非常に惹かれるものがあり、現在の私のファッションにはジャケットが欠かせないものとなっていった。

イナズマンFは私の人生において大切な作品となったのだ。

イナズマンFとは?

イナズマンF』はもともと、『イナズマン』というタイトルで1973年10月2日〜1974年3月26日(全25話)に放送され、同年4月2日からイナズマンF』と改題し、9月26日(全23話)まで放送された。原作は石ノ森章太郎である。

イナズマン』時代は帝王バンバ(声:飯塚昭三氏)を首領とする新人類帝国ファントム軍団の野望を阻止するために、超能力者の渡五郎が少年同盟のリーダーであるキャプテン サラー(演:室田日出男氏!)にイナズマンに変転する能力を与えられ、少年同盟員と共に戦う。第11話「バラバンバラはイナズマンの母」では五郎の母親がファントム軍団の手先として登場。同話の監督・脚本(脚本は連名で島田真之氏)は原作者である石ノ森章太郎で、石ノ森章太郎氏の型にはまらない演出方法などが『イナズマンF』を生むきっかけとなったと言う。

第24話「謎のロボット戦士?」ではフライングでデスパー軍団の参謀ウデスパー(声:岩名雅記氏)が仮面ライダーのゆうれい怪人ガニコウモルのように登場。ウデスパーはファントム軍団の作戦妨害しつつ、一部のファントム兵士達を造反させるという、新組織と旧組織の交代劇を盛り上げる重要な役目を持ったキャラクターであった。第26話「恐怖のガイゼル総統と謎のデスパー軍団!」で番組名が『イナズマンF』となり、ファントム軍団に代わってデスパー軍団が敵組織として君臨することになる。

イナズマンは蝶がメチーフとなっている。なので渡五郎がイナズマンになるためにはまず、サナギマンに変転し、イナズマンに変転するための力を蓄えなければならない。

イナズマンになるためには段階を踏まなければならないという所が非常に特徴的であった。

イナズマンF』になると登場人物は主人公渡五郎を除いて一新され、主人公サイドの人間はインターポール捜査官荒井誠(演:上野山功一氏)のみとなった(少年同盟はイナズマンFのEDのワンシーンのみ登場)。新組織デスパー軍団との戦いにおいて荒井誠の存在は大きく、荒井誠の渋い魅力は『イナズマンF』の作風であるハードボイルドの象徴であったと思う。また、敵組織のデスパー軍団の怪人達はロボット兵士であり、鋼鉄のボディと血の通わない残酷さも『イナズマンF』の世界観にマッチしていた。

デスパー軍団の首領ガイゼル総統(演:安藤三男氏)は大変不気味な存在で、顔も真っ白、人間としの温度を感じさせない。常に低い声で命令を下し、作戦に失敗したものには容赦ない処罰を下す冷酷な独裁者である。

第37話「幻影都市デスパー・シティ」ではデスパー軍団の本拠地デスパー・シティが登場。デスパー・シティには5万人にもの人間が強制収容されている。デスパー・シティの登場によってガイゼル総統には独裁者の部分が強調され、イナズマンは「自由の戦士」という使命が具体的なものとなった。

イナズマンF』は特定のヒロインが存在しない。そのため、ゲスト女優が一話限りのヒロインとなる。あの伝説の特撮番組『アイアンキングと通じるものがある。

番組終盤になると、元々ハードな展開であったがそれ以上に、特撮番組の固定観念に囚われない回を連発していく。『イナズマンF』は『イナズマン』から大きく変転した番組となったのだ。

第43話「レッドクイン 暗殺のバラード」 脚本 長石多可男 監督 塚田正煕 

あらすじ

デスパーに家族を殺されたレッドクイン(演:八代順子氏)は同じ境遇の友人(演:佐藤仁哉氏)を射殺してデスパーのスナイパーとなり、渡五郎を狙撃する。だがハンマーデスパーによって手を負傷させられていたため失敗。彼女の真の目的は復讐であり、ガイゼルの抹殺であったが、デスパーによって殺されてしまう。渡五郎は怒りに燃えてイナズマンに変転する。

復讐に生きた女 レッドクイン

脚本は長石多可男氏で、数々の特撮番組の監督をしてきたベテラン監督だ。

イナズマン大全の長石多可男氏へのインタビューによると、「一本書いてみないか?」と言われて執筆したのだという。

イナズマンFの最終回は第48話で先程、番組終盤になると特撮番組の固定観念に囚われない回が連発すると書いたが、本作はまさにそれで、ハードボイルド色がとても強い回である。

本作の魅力は極限にまで無駄を削ぎ落とした、シンプルさであると思う。

本作は基本的にレッドクインを軸に描かれ、本来メインであるはずのデスパー怪人の出番は少ない。それもかなり凄いことだと思うが・・・。

冒頭、レッドクインは飛行機が低空飛行する中、荒野に咲いた花を拳銃で狙撃。通信機に「花は死んだ」と暗号を呟く。その後、ピアノ教室で本作限定の印象的なBGMを弾く。とても心掴まれるオープニングなのだ。

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レッドクインが教室を後にする際、自分の本名の「飛鳥夕子」の表札を裏返しにする。それはまさに復讐に全てを投げ捨て、レッドクインとして生きることの決意を暗示しているのだろう。

レッドクインは五郎に、「命を大切にしろ」とスナイパーを辞めるよう説得されるが、くだらないヒロイズムと一蹴する。「自由の戦士イナズマン」も友人まで殺して復讐に生きるレッドクインの前ではくだらないヒロイズムに過ぎなかった。

レッドクインの表情は常に殺気立っており、レッドクインを演じた八代順子氏の顔立ちと相まってビュジュアルもとても印象的である。

一話限りのゲストキャラクターのレッドクインは『イナズマンF』のなかで、トップクラスで私の脳裏に刻まれた存在だ。レッドクインは復讐に全てを賭けながらも、儚くその命を散らした。

これを書いてしまったら元も子もないが、文字だけでは本作の魅力はなかなか伝えきれない。レッドクイン、ピアノのBGM、本作に流れる独特の世界観・雰囲気・・・。それらがすべて"魔法"のように噛み合っている。

脚本にはサブタイトルの表示位置まで指定されているが、サブタイトルの「レッドクイン 暗殺のバラード」は本作を見事に表現したサブタイトルであろう。

余談だが、本作のイナズマンの決め技はイナズマンフラッシュキック。通常の決め技はゼーバー・イナズマンフラッシュである。イナズマンフラッシュキック、結構好きなネーミングである。

 

イナズマンF』は特撮番組の中でもかなり異質な存在で、『イナズマンF』にしかない独特の魅力が盛りだくさんだ。

昭和に産声をあげた『イナズマンF』は今現在もその輝きを放っている。

 

本作が収録されているイナズマンFのDVD

イナズマンF(フラッシュ) VOL.2<完> [DVD]

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