マサキの部屋

特撮・ドラマ・映画その他もろもろについて語ります

劇場版 東映版遊☆戯☆王が与えた"可能性"

「オレのターン、ドロー!!」

 

・・・ということで、今回は劇場版の東映遊戯王について語っていきたい。

東映遊戯王、それは知る人ぞ知る黒歴史扱いされた埋もれた名作である。

東映遊戯王遊戯王のアニメ第1作目で、その名の通り東映アニメーションによって製作され、テレビ朝日系で放送されていた。"正史"である第2作目の遊戯王DMから現在に至る遊戯王アニメシリーズの製作会社とは異なり、それを区別する為に東映遊戯王と呼ばれているが、東映遊戯王のキャラクターデザインスタッフは遊戯王DMに引き継がれているので、両者にはまったく関連性がないという訳ではない(遊戯王DMからはテレビ東京系で放送)。

東映遊戯王黒歴史扱いをされているが、正直なところ詳しい理由は分からない。VHSとしてソフト化されて以降、現在DVD・Blu-ray化されずにいることが黒歴史化に拍車をかけている。さらにVHSという性質もあって視聴するのは困難である。また、東映遊戯王は全27話で打ち切られているため、それが黒歴史扱いの原因かもしれない。

私は2007年当時、ちょうどレンタルビデオショップからVHSが完全に絶滅する寸前に東映遊戯王を奇跡的に視聴することができた。

全話視聴した訳ではないが(ガイドブックやサイト等で一応、全体的な内容は把握している)、東映遊戯王は非常に素晴らしかった。カードバトルに至っては原作の初期のルールのため、遊戯王DMに比べてデュエルの迫力やスリリングさは欠けるが、それはそれで味がある。

アニメ第2作目の遊戯王DMは原作のカードバトル路線以前のエピソードはバッサリカットし、第1話で遊戯と城之内の"友情"が芽生えたエピソード(原作第1話)と海馬との因縁を描いただけで、すぐに王国編に移行する。一方東映版遊戯は駆け足で急いだ感もあるが、原作の第1話からカードバトルまでをアニメオリジナルストーリーを挟みつつ描いていった。

原作のカードバトル以前の遊戯王は、闇遊戯が悪役を闇のゲームで懲らしめるという勧善懲悪モノだった。なので東映遊戯王の闇遊戯はヒーローの印象が強く、かなりカッコ良かったのだが、遊戯王DMの闇遊戯ではアニメオリジナルストーリー等で弱さ・脆さが強調され、闇遊戯を演じた風間俊介さんの代表作「金八先生」の兼末健次郎とダブる部分があり、東映遊戯王の闇遊戯とはだいぶ印象が異なる。

東映遊戯王のキャストは豪華で、武藤遊戯/闇遊戯を演じるのは緒方恵美さんだ。東映遊戯王の闇遊戯がカッコ良いとさっき述べたが、緒方恵美さん演じる闇遊戯はクールでどこか妖艶な魅力を放っている。

遊戯の永遠のライバル・海馬を演じるのは緑川光さんで、海馬の髪色は緑色、ファンにはキャベツと呼ばれている。そして闇遊戯と同様海馬のキャラクターも遊戯王DMとは異なっている。

その他のキャストは、

・城之内:森川智之

・本田:置鮎龍太郎

・杏子:かかずゆみ

・野坂ミホ:野上ゆかな(現ゆかな)

・双六:青野武

かなり豪華だ。ゲストキャラの声優も豪華なので興味ある方は是非調べて欲しい。ちなみにシャーディーを演じたのは故塩沢兼人さんで、ミステリアスな存在のシャーディーには本当にぴったりだった。

なぜか本田は原作とは全く違うキャラに変更され、不良ではなく美化委員に所属する真面目キャラになった。さらに原作ではゲストキャラの本田の片想いの相手・通称リボンちゃんの野坂ミホがレギュラーに昇格している。

東映遊戯王はOP・ED共に素晴らしい。

・OP「渇いた叫び」 FIELD OF VIEW

作詞・作曲 小松未歩 編曲 小澤正澄

・ED 「明日もし君が壊れてもWANDS

作詞 坂井泉水 作曲 大野愛果 編曲 WANDS

主題歌はビーイング系アーティストが担当し、劇中の音楽もビーイングだ。これはこれで語りたいのでまた別の機会にしよう。

前置きだけでかなり長くなってしまったが、それでは本題に入りたい。

東映遊戯王の劇場版は1999年に公開された、30分程度のオリジナルストーリーである。

脚本を手がけたのは小林靖子氏で、平成の東映特撮ではお馴染みの方だ。それ故に闇遊戯のヒーロー性が増した印象を受ける。

あらすじ

デュエルに勝てない少年・翔吾は幻の超レアカード「真紅眼の黒竜」を当てたことで、デュエルをせずとも自分は強いと主張する。そんな翔吾は「真紅眼の黒竜」を所持しているため、海馬のレアカード狩りのデュエルに無理やり招待されてしまう。だがそれは遊戯をおびき寄せるための海馬の罠だった。

ひとつ残念なのは劇場版の海馬の髪色は緑色ではない。遊戯王DMの海馬に髪色と性格が近くなっている。

ストーリーは翔吾を軸に進行していくのだが、「真紅眼の黒竜」が物語のキーカードであり、同時にテーマも担っている。

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蒼き龍は勝利をもたらす

しかし 紅き竜がもたらすものは勝利にあらず可能性なり・・・

ただし 戦う勇気があるものだけに

劇場版 遊☆戯☆王 のセリフより引用

蒼き龍は「青眼の白龍」、紅き竜は「真紅眼の黒竜」のことで両者は遊戯王の象徴的存在である。「真紅眼の黒竜」は「青眼の白龍」にステータスで劣るため勝利をもたらすのではなく、あくまで"可能性"とされている。

その可能性は"融合"で「真紅眼の黒竜」は「メテオ・ドラゴン」と融合することで「メテオ・ブラック・ドラゴン」となり、「青眼の白龍」を凌駕する存在となる。原作でも「真紅眼の黒竜」は「デーモンの召喚」と融合することで「ブラック・デーモンズ・ドラゴン」になることができる。

「真紅眼の黒竜」はデュエルに勝てず、デュエルすら恐れるようになった翔吾に勝利の可能性を示しながら、勇気を導く存在なのだ。

東映遊戯王によって「真紅眼の黒竜」は勝利の可能性をもたらすという役割を与えられたことにより、現実でも「真紅眼の黒竜」は幾多の可能性を得ることになった。

その可能性の一部である、「メテオ・ドラゴン」について遊戯王カードWikiから引用する。

東映版アニメのオリジナルモンスターでありながら、KONAMI遊戯王OCGでもカード化を果たしたという珍しいカードである。

遊戯王カードWiki から引用

メテオ・ドラゴン」は東映遊戯王が生み出したもので、その融合体の「メテオ・ブラック・ドラゴン」も同様だった。

2016年に「メテオ・ドラゴン」は「真紅眼の凶星竜ーメテオ・ドラゴン」、「メテオ・ブラック・ドラゴン」は「流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン」としてリメイクされた(2015年には「ブラック・デーモンズ・ドラゴン」は「悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン」としてリメイクされている)

さらに2017年には「真紅眼の黒竜」の新しい可能性として、融合モンスターの「真紅眼の黒刃竜」がOCGで登場した。

さまざまな「真紅眼の黒竜」の可能性があるなかで、特に「流星竜ブラック・メテオ・ドラゴン」は真紅眼デッキで大活躍している。

東映遊戯王は「真紅眼の黒竜」に可能性という大きな財産を残していった。

東映遊戯王黒歴史扱いを受けている。明日もしその存在が消えたとしても我々の記憶からは消えることはないだろう。なぜなら「紅き竜」がその存在を追憶させつつ、デュエリスト達に今もなお勝利の可能性をもたらしているのだから。