マサキの部屋

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アイアンキング 不知火一族について

以前、ウルトラセブンのノンマルトの記事で先住民族という共通項から、アイアンキングの不知火一族をほんの少し触れた。今回はその不知火一族についてディープに語っていきたい。

まずは不知火一族を語る前にアイアンキングについて語らねばならない。

アイアンキングは宣弘社の特撮ヒーローである。1972年に放送され、佐々木守氏が全26話全ての脚本を担当している。

アイアンキングは巨大ヒーローで水をエネルギー源とし、活動時間は1分である。

このアイアンキングのすごい所は主役がアイアンキングではなく、国家警備機構の隊員・静弦太郎が主役であり、変身能力のない彼が敵組織と配下の巨大ロボットに生身で立ち向かっていく。

彼の唯一の武器はアイアンベルトで、状況に応じてフルーレ状の剣と長い鞭になる代物だ。主な使い方として等身大の戦闘員には剣状態で戦い、巨大ロボットには鞭状にして打撃を与えたり、身体に一部に巻きつけたりして戦う。

等身大の人間の中ではトップクラスの戦闘力を誇る静弦太郎だが、彼は独自の戦いの思想を持っている。普段はおちゃらけているがいざ戦いのことになると、目的のためなら手段は選ばず、一般人を囮に使い、「多少の犠牲は仕方ない」と平然と言ってのける。彼の思想は「大の虫を生かして小の虫を殺す」なのだ。

それは平和を乱す敵を一刻も早く倒す為ではあるが、従来のヒーローは基本的にそんなことはしないし、それをしたとしてもその行動には葛藤があったりするだろう。だが静弦太郎はそれを迷いなくやってしまうので、賛否分かれるヒーローかもしれない。

そんな静弦太郎の相棒は霧島五郎だ。彼も国家警備機構の隊員で、アイアンキングの正体である。彼がアイアンキングに変身することは視聴者は知っているが、相棒の静弦太郎は知らない。間抜けた所はあるが、温厚でお人好しな性格で「大の虫を生かして小の虫を殺す」の静弦太郎には「冷てぇヤツ」と苦言を呈し、人々のピンチにアイアンキングとなって駆けつけたこともあった。

アイアンキングは弱いヒーローとして有名である。

しかし、アイアンキングの活動時間は1分しかなく、敵ロボットの猛攻から反撃の糸口を掴む前に活動時間が過ぎて強制的に変身解除してしまう。アイアンキングの"ストーリー上"の役割はあくまで静弦太郎のサポートなので、このような制約をつけられている。

アイアンキングは特撮というジャンルの中では異端の存在で、主人公静弦太郎を演じるのはアイドル・石橋正次、霧島五郎を演じるのは日活のスター・浜田光夫で二人の息の合った掛け合いがアイアンキングの魅力のひとつである。また、ヒロイン不在のためゲスト女優がその役を担い、話題を呼んでいた。

まぁ、ざっくりとアイアンキングの魅力を語ったがこれに限らずたくさんの魅力があるので、詳細はDVDを見てもらうなりして、ここから本題に入りたい。

不知火一族はアイアンキングを象徴する敵組織で、第1〜10話まで登場した。

「我ら祖先の血と涙を胸に日本征服の野望達成のために立ち上がる時が来たのだ!」 

不知火太郎

アイアンキング 第1話「朝風の密使」より

不知火一族は山中に本拠地を置き、"2000年の野望"達成のための機会を伺っていたが、国家警備機構が不知火一族討伐のために静弦太郎を差し向けたことをキャッチ、その先手を打って活動を開始した。映像を見る限り、不知火一族は近隣の村に一般市民として潜伏していたようだ。

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不知火一族は国家転覆を目論み、東京を「大和政府の首都東京」、日本国民を「大和民族」と独自の名称で呼ぶ。これは不知火一族が日本の先住民であることを象徴であり、非常に印象的である。

大和と2000年の野望ということで、不知火一族のルーツは日本の歴史から見る事が出来る。(大和政権成立はWikipediaによると、様々な諸説あるが少なくとも3世紀半ばからと言われている)

アイアンキングは脚本の佐々木守氏のイデオロギーが反映されていると言われている。

佐々木守氏は騎馬民族征服王朝説を支持していたようだ。

それらの設定をストーリーに上手く盛り込むことでアイアンキングを誕生させたのだ。

その辺については様々なサイトで考察されているので、参照されたし。

不知火一族の特筆すべき点は保有するロボットにある。

不知火一族のロボット達のデザインとスーツの材質はどこかヒーロー性を感じる。勿論、例外もあるのが第1話登場のバキュミラーがその最たるもだ。バキュミラーに関してはアイアンキングの没デザインを流用したものなので当たり前なのだが、ジャイロゲス、ダブルサタン、ブラックナイト、ブロンズデーモンは何かのデザインの流用ではないはずだ。通常、他の特撮でヒーロー性を感じさせる敵はライバルの立ち位置、いわば"アンチヒーロー"だけである。アイアンキングはこうした点と、不知火一族の設定から見ても異端の存在なのだ。

アイアンキングのように尖った特撮ヒーローはなかなか存在しないと思う。その要因としては佐々木守氏のイデオロギーが強いと思うが、作品のタッチを静弦太郎と霧島五郎のコンビが柔らかくしているので非常に見やすい。昭和の作品ということで技術の粗い場面もあるが、特撮パートの合成シーンは当時としてかなりレベルが高い。

そして、第10話からは独立幻野党というテロ組織が登場する。

やはりアイアンキングは尖っている。

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