マサキの部屋

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ウルトラセブン 第43話「第四惑星の悪夢」とイナズマンF 第37話「幻影都市デスパー・シティ」

前回、ウルトラセブン 第42話「ノンマルトの使者」について語った。

ブログを書くためにウルトラセブンのDVDを見ていたら「ノンマルトの使者」の次の回が「第四惑星の悪夢」だった。名作との評価が高いので続けて見てみた。

「第四惑星の悪夢」を見終わった後、イナズマンFの「幻影都市デスパー・シティ」とストーリーが似てると思った。

なので、今回は「第四惑星の悪夢」と「幻影都市デスパー・シティ」を比較しながら、両作を語っていこうと思う。

ウルトラセブン 第43話 「第四惑星の悪夢」 脚本 川崎高・上原正三 監督 実相寺昭雄 1968年7月28日放送 

イナズマンF 第37話 「幻影都市デスパー・シティ」脚本 上原正三 監督 塚田 正熙 1974年7月2日放送

ご覧の通り、両作共に脚本は上原正三氏である。「第四惑星」は連名で、もう一人の脚本家の川崎高氏を調べたら監督の実相寺昭雄氏のペンネームだった。

制作会社は違えど、この両作は予算なき状況が産んだ名作である。

ウルトラセブンは後半になると、円谷プロの積み重なった赤字のため、着ぐるみの怪獣・宇宙人が登場しない回が増える。「第四惑星」はまさにそれだ。

一方、イナズマンオイルショックの影響を受け、制作する度に赤字を出していた。そのため、「イナズマンF」と改題して路線変更、さらに怪人の着ぐるみの使い回しが多くなる。

特撮という性質上、セット等で世界観を表現しなければならないが、両作は予算がないという状況の中、設定だけで世界観を見事に表現したのだ。

あらすじ

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ウルトラセブン 「第四惑星の悪夢」

地球防衛軍は長距離用宇宙ロケット「スコーピオン号」を完成させ、テスト飛行のパイロットはダンとソガの二人。スコーピオン号は全自動で、運航中にダンとソガは20日間の催眠に入る。だが、スコーピオン号は遭難して日本そっくりの惑星に着陸する。ダンとソガが見たのものはロボットに人間が支配されている、"第四惑星の悪夢"であった・・・。

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イナズマンF 「幻影都市デスパー・シティ」

デスパーの弾薬の運搬の情報を聞きつけた五郎と荒井はデスパーのトラックを襲撃するが、デマであった。そこでユキという女性に出会う。彼女はデスパーの幹部でありながら反乱分子のリーダーで、デスパー・シティの存在を五郎と荒井に話す。彼女の案内でデスパー・シティに向かう五郎と荒井。そのデスパーシティは人工太陽の下、日本そっくりの恐るべき実験都市で、5万人間が強制収容されていた・・・。

日本の街が舞台なのだが、設定を加えることで別の世界に見えてくるという、ある種の錯覚を覚える。

ウルトラセブンの「第四惑星」では司法、行政、新聞社、学校、テレビ局を統べる"総合センター"という施設が登場する。特別なセットが組まれている訳ではなく、無機質なビル内が撮影場所となっているのだが、なぜか妙に説得力がある。

また、人間の街も登場するが普通の団地であり、月が四つある光景以外、何ら変わったことはないのに不思議とその世界観に浸ってしまう。

イナズマンFの「デスパー・シティ」は「第四惑星」と同様の世界観である。

デスパー基地と幹部会議所以外は特別なセットは組まれていないが、デスパー・シティ市民の街は普通の団地という共通点が見られる。

ここからは冒頭で触れた、ストーリーの類似している部分を挙げていく。

「第四惑星の悪夢」

・総合センターを管理するロボット長官の人間の女秘書・アリーの裏切り

・アリーの弟の存在

・市民の銃殺

・ロボットとロボット長官による人間の支配

・ラストはあっさり元の世界に戻る

「幻影都市デスパー・シティ」

・デスパー幹部・ユキは実は反乱分子

・ユキの弟の存在

・市民の銃殺

・デスパー怪人(ロボット)と独裁者ガイゼルによる人間の支配

・ラストはあっさり元の世界に戻る

登場人物とシチュエーションには類似性が見られる。後年に制作された「デスパー・シティ」は「第四惑星」をベースに発展させた作品と言える。

「第四惑星」は通常回だが、「デスパー・シティ」はイナズマンFにとってターニングポイントになる回で、新たな参謀サデスパーとデスパー・シティが登場し、"自由の戦士"イナズマンにデスパー市民の解放という具体的な使命が加わった。また、荒井誠の過去が語られ、デスパー・シティに置いてきた妻子の存在も明らかになる。

「デスパー・シティ」の試写会で、クオリティーの高さにスタッフが号泣したというのは有名な話である。だからこそ、東映まんがまつりで「デスパー・シティ」が上映されたのも頷ける。

低予算の中、アイディアだけでSFなどの非日常的空間を見せる手法は初期の「世にも奇妙な物語」に通ずるものがある。特に「第四惑星」の演出と無表情の"軍服の警察官"の存在がその最たるものだ。

「第四惑星」の設定、ロボットに人間がとって替わられたことを説明する場面で、ロボット長官の「人間が働かなくなった」というセリフがあるが、それは世界の学者・哲学者が激論を交わす"現代の問題"、人工知能を想起させる。

脚本の上原正三氏は科学万能主義に警鐘を鳴らしていたのだ。

それに関して、上原正三氏は双葉社の「イナズマン大全」のインタビューで語っていたので、その部分を引用する。

"話しは少し戻ってしまうけど、「イナズマン(F)」しかり、「怪奇大作戦」しかり、「ウルトラセブン」(67)の「第四惑星の悪夢」(第43話)なんかそうだね。そういうお話が絵空事ではなくなってきている。空想で書いたものが現実化していきていると僕は思うんですよ。"

 双葉社 イナズマン大全 岩佐陽一編 より

上原正三氏は時に過激な脚本を書く。

帰ってきたウルトラマンの第33話「怪獣使いと少年」では日本社会にドス黒く根ざす差別を露骨に描いてみせた。

特撮ヒーローというカッコいい看板に魅せれられて、その店に入ってみると、突如頭をバットで殴られた感じ・・・。

だが、特撮は''一見さん"は入りにくいという敷居の高さやガキっぽい・暴力的などの偏見が未だにある。

クオリティーの低い作品もあるが、現代社会に対する警鐘が描かれているからこそ、もっと評価されていいジャンルだと思う。

微力ながら、このマサキの部屋から特撮の魅力を発信していきたい。